相続税申告で失敗した事例

文責:税理士 井川卓磨

最終更新日:2025年06月24日

1 相続税の申告漏れによる追徴課税

⑴ 預貯金口座や現金が漏れていた場合

 相続税申告をする際になぜか、税理士にすべての預貯金通帳口座の存在を知らせない方や、金庫から見つかった現金を税理士に伝えない方がいるようです。

 このような場合は、申告しなければならない内容が漏れていることになりますので、過少申告加算税等の加算税や延滞税などの追徴課税の対象となります。

 

⑵ 名義預金として否認される場合

 子どもや孫の名義で通帳を作成し、それは相続財産に含まれないから相続税対策になると思って毎年110万円ずつ入金しているケースがあります。

 子どもや孫にその通帳を渡しており、毎年110万円の「贈与」が認められるケースであれば構わないのですが、「贈与」が否認されることがあります。

 例えば、子どもや孫の名義の通帳を親が管理していたり、当該子どもや孫は暗証番号を知らないため引き出すこともできない状況であったりするようなケースが典型例です。

 このような場合は、親から子どもや孫に「贈与」しているとはいえず、その通帳も、子どもや孫「名義」にすぎない「親本人の口座」として認定されてしまいます。

 そうなると、相続税の対象となり、申告漏れがあるとして、追徴課税の対象となります。

2 財産評価の失敗例

⑴ 不動産の評価を誤った場合

 不動産の評価は、税理士のなかでも相続税に詳しい税理士でなければ難しいといえる分野です。

 例えば、旗竿地のように減算要素のある土地の評価において、減算が考慮されていなかったりするなど、土地の評価を適切にできていないケースがあるようです。

 ただ、これはあくまでもどのような評価方法を採用するかという問題であるため、減算要素を用いずに申告をしても誤りとまではいえません。

 そのため、納税者が税額を多めに支払っているものの、それには気づいていないというケースも多々あることには注意が必要です。

 

⑵ 小規模宅地等の特例の適用誤り

 小規模宅地等の特例は、相続税の申告期限まで当該家に居住していることが要件の一つとなっています。

 ただ、相続人のなかには、相続税の申告終了までと勘違いしているケースがあります。

 申告は終了しているものの、申告期限をまだ経過していない場合は、居住要件を欠くことになってしまうため、申告が誤りであると判断され、追徴課税の対象となってしまう点には注意が必要です。

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